「グローバル資金調達と投資家攻略」Endeavor Japan Summit 2024にてモデレーターとして登壇

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左から梅澤亮、Asia Partners共同創設者兼パートナーのOliver Rippelさん、三菱UFJイノベーション・パートナーズ(MUIP)代表取締役社長での鈴木伸武さん

日本の起業家エコシステムを活性化し、国際的なビジネスリーダーや起業家を結びつけることを目的としたイベント、Endeavor Japan Summit 2024が10月11日に東京で開催されました。このサミットでは、AI、国際展開戦略、投資機会など、さまざまなテーマを取り上げた基調講演やパネルディスカッションが行われました。私はその中で、「Cracking the VC Code: Raising Capital & Meeting Investor Expectations for Global Expansion」というパネルディスカッションのモデレーターを務めました。パネリストには、Asia Partners共同創設者兼パートナーのOliver Rippelさん、三菱UFJイノベーション・パートナーズ(MUIP)代表取締役社長の鈴木伸武さんが登壇しました。

パネルディスカッションでは3つのテーマを中心に議論が行われました
1. VCがスタートアップに求める強みと事業目標に対するグロース方法とリターン
ベンチャーキャピタリスト(VC)が注目するのは、明確な成長戦略や市場での競争優位性、そして投資リターンを実現する可能性です。特に、AIやSaaSなどの分野は成長性が高く、投資家からの注目が集まっています。議論では、起業家が事業計画を投資家の期待に合わせることで、資金調達の成功率が高まると強調されました。また、事業のスケーラビリティと市場の適応能力が、投資家の信頼を得る鍵とされています。

2. 投資家との信頼関係の構築とコミュニケーションの重要性
資金調達の成功には、投資家との継続的な信頼関係が不可欠です。特に、資金調達プロセス中はオープンなコミュニケーションを保つことが重要であり、情報共有や進捗報告を通じて投資家の信頼を築く基盤となります。また、議論では、投資家を単なる資金提供者ではなく、長期的な成長を支えるパートナーとして捉える姿勢が推奨されました。さらに、1日や短期間で信頼関係を構築するのは難しいため、資金調達の開始前から頻繁に連絡を取り合う仕組みを整えることが大切です。例えば、ニュースレターを送る、投資家向けのイベントに参加するなど、継続的に接点を作ることで、関係性を深めるきっかけを作ることが重要とされています

3. 資金調達時の一般的な失敗と成功・失敗から学ぶ教訓
多くのスタートアップが犯す共通のミスとして、競合優位性の理解不足、現実的でない評価額の提示、準備不足、または投資家の期待を理解しないまま交渉を進めることが挙げられました。一方、成功したスタートアップの事例では、具体的で説得力のあるピッチ、失敗から学び改善を繰り返すプロセスの重要性、そしてマーケットの理解度が成功の鍵として挙げられました。

さらに、資金調達の失敗は必ずしも終わりを意味するものではなく、新たな戦略を立てて挑戦し続けることの重要性が語られました。

今回、個人的に嬉しかったのは、ユニコーン企業78社、2,500名を超える起業家と約3,000名のメンターを繋ぐ、世界最大の起業家支援団体「Endeavor」が主催する「Entrepreneur Tour」において、ベクトルがツアーパートナーとして選出されたことです。アジア太平洋地域を中心に、42カ国の起業家、投資家、事業会社が東京のベクトル本社に集結しました。

ベクトル取締役副社長グループCOOの長谷川創

オープニングスピーチでは、ベクトルのグローバル事業を管轄・推進する長谷川創が、起業家に対する想いをプレゼンしました。

私からは、ベクトルの紹介に加え、日本市場の魅力と難しさについてお話ししました。特に、日本市場のユニークな特徴として、堅実なビジネス文化と高い品質要求が挙げられます。一方で、新規参入企業にとっては複雑な商習慣が壁となり、さまざまなプロセスを踏む必要があるため、時間がかかる点も指摘しました。

外国人起業家に分かりやすく覚えてもらうために、特に日本の大手企業と協業する際に心がけるべき重要なポイントとして、以下の3つを強調しました。

  1. 人脈(誰経由で会うか)
    信頼を重んじる日本では、誰の紹介で会うかが極めて重要です。信頼できる仲介者を通じて接触することで、商談の成功率が格段に上がります。
  2. 根回し(事前の合意形成)
    会議の前に関係者と非公式に話し合い、意見の一致を図る「根回し」は、日本特有のプロセスです。このステップを怠ると、後の議論が進みにくくなります。
  3. 稟議(意思決定プロセス)
    日本企業では、トップダウンではなくボトムアップの意思決定が一般的です。そのため、提案がどのように社内で進むかを理解し、関係者に適切な情報を提供することが鍵となります。

また、ジョイントベンチャー(共同出資)の組み方についても、具体例を交えて紹介しました。たとえば、事業を長期的に成功させるには、お互いの強みを最大限に活かしながら、文化やビジネス慣習の違いを尊重した協力関係を築くことが重要です。このアプローチにより、自社単独で進出するよりも、日本市場へのエントリーがスムーズになります。

右からBuy&Shipカントリーマネージャーの奥江靖さんと梅澤亮

最後の締めくくりとして、長年お世話になっているBuy&Shipのカントリーマネージャー、奥江靖さんとパネルディスカッションをさせて頂きました。

  1. Country Manager採用:英語は最重要ではなく、マーケットの理解やスキルを優先するべき
    グローバル企業・外資系が日本市場に参入する際、Country Manager(日本支社長)の選任は非常に重要な要素です。議論では、英語スキルだけを重視するのではなく、日本市場の特性や文化を深く理解している候補者を選ぶべきだという意見が共有されました。具体的には、豊富な人脈、消費者行動、ローカルのビジネス慣習、競争環境などへの洞察がある人材が、長期的な成功に貢献する可能性が高いとされています。
  2. Think Global, Act Local:どこまでの事業カスタマイズが必要か
    現地市場に合わせてどの程度ビジネスモデルやプロダクトをカスタマイズすべきかという議題も挙がりました。完全なローカライズを目指すと、コストや効率に影響を及ぼす可能性があるため、標準化とカスタマイズのバランスを見極めることが求められます。成功例として、グローバルブランドが日本市場で細やかなローカル対応を行いながら、ブランドアイデンティティを維持したケースが挙げられました。
  3. Common Mistakes:良く外資が失敗する事例、採用やマーケットの学びや人間関係
    日本市場で直面する外資系企業の失敗例についても議論されました。特に、英語が話せることを優先しすぎて現地市場を十分に理解していない人材を採用してしまうことや、日本の消費者ニーズや競合環境に対するリサーチ不足が問題として挙げられました。また、日本特有のビジネス文化を軽視し、信頼を重視した人間関係を築けなかった事例も多く見られました。これらの課題を乗り越えるためには、時間と予算を十分に確保し、地道な市場調査を行うことが不可欠です。また、文化への理解を深め、ローカルチームやパートナーとの密な連携を進めることが成功の鍵だと強調されました。

Endeavorの起業家の皆さんも熱心に聞いていただき、喜んで頂けていた模様で良かったです!ベクトルでは、日本から海外、海外から日本へのマーケットエントリーを多数サポートしておりますので、いつでもお声がけください〜。

最後のおまけ…プロのカメラマンがベクトルのお水をカッコよく撮ってくれました。赤坂周辺に来た際は、いつでも寄ってください。お水を差し上げます。笑

「Endeavor(エンデバー)」は、世界中の高インパクトな起業家を支援するためのグローバルな非営利団体です。1997年に設立され、主に新興市場や発展途上国の起業家を対象に、ビジネスの拡大、雇用創出、革新を促進することを目的としています。

Endeavorは、スケールアップの可能性がある企業を持つ起業家に対して、メンターシップ、戦略的アドバイス、資金調達の支援を行い、グローバルなネットワークを通じてこれらの企業の成長を加速させます。これにより、起業家は地域的な障壁を超えてビジネスを拡大し、国際的な成功を収めることができます。

世界中の起業家や投資家、メンターとつながるためのプラットフォームを提供し、特にラテンアメリカ、中東、アフリカ、アジアなどの市場に注力しています。

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この記事を書いた人

ryoのアバター ryo 何でも屋

10年間にわたるフィリピン滞在を経て、上智大学・比較文化学部を卒業。学生時代から様々な事業の立ち上げに携わり、サラリーマン、起業、国内+外資系企業社長、取締役、顧問、株主などをスタートアップ及び上場企業で経験。

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