一般社団法人日本能率協会にて「スタートアップ活性化のキーは人材育成にある」をテーマに登壇

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株式会社ニューチャーネットワークスの代表取締役、高橋透さんにお誘い頂き、先週一般社団法人日本能率協会(JMA)にてAntlerの取り組みやスタートアップ活性化のキーは人材育成をテーマに登壇させて頂きました。

ありがたいことに当日の話した内容の記事やバナーを作成頂いたのでシェアします。https://www.jma.or.jp/management/report/umezawa.html

下記が引用記事です・・・
グローバルベンチャーキャピタルのAntler。その日本法人であるAntler株式会社の代表取締役 梅澤亮様に、現在の日本のスタートアップ環境やAntlerの活動についてご講演いただきました。講演では、起業前の 「Day Zero」から投資を行うユニークなプログラムについて、詳しくお話をしていただきました。講演の一部を抜粋して、お届けします。

現代に必要なスキルと求められるイノベーション

今日はAntler Japanがどのような活動を行っているかについて、お話しさせていただきたいと思います。その前に、現在のマーケットを取り巻く環境について簡単にご説明します。

昨今、日本の雇用情勢が変わりつつあります。これまでは新卒で入社し、生涯をその企業で過ごすことがほとんどでしたが、そうではなくなりつつあります。そのような状況の中で、企業で求められるスキルも変化しています。最近では、ChatGPTをはじめとする生成AIに関心が集まっていますが、今度はAGI(Artificial General Intelligence)ですね。先日、SoftBankの孫さんも登壇でお話されていましたが、今後10年以内にAGIがあらゆる産業を根底から改革するようになると、今まで重要視されてきたスキルセットは不要になります。

これは求められる職種についても同様です。製造業、事務職、販売職などの職種は、機械化やAIの導入に伴い、近い将来その需要が減少すると予測されています。今後、人間にはAIではできないことを求められていくでしょう。例えば、問題(プロブレム)の発見や将来予測です。AIはシステマティックに数値的な予測をすることはできるかもしれないのですが、クリエイティブな発想や、新たなイノベーションを起こすことにおいては、まだまだ人間の方が優れていると思います。

世界に遅れを取る日本のスタートアップ環境

次に、私たちAntler Japanがどのような活動をしているのかをご紹介させていただきたいと思います。Antler Japanは日本で起業家に対して支援をし、投資を行っているベンチャーキャピタルです。シンガポールに本社を構えるグローバルベンチャーキャピタルAntlerの日本法人となります。

起業することは簡単なことではありません。特に日本ではより困難です。スタートアップ企業が新たにメガバンクで口座を開設することや、事務所を借りることでさえ難しい場合があるのです。起業して間もない企業では、審査が通らないことがあるためです。

海外の起業家はアメリカなどで起業し、その後M&Aや上場等でエグジットすると、自国に戻って投資をするという動きがありますが、残念ながら、日本ではそういう動きが極めて少ない状況です。そういう意味では、日本のスタートアップのエコシステムは未熟です。ベンチャーへの投資金額を見ても、アメリカと日本では圧倒的な差があります。企業買収によって、事業を成長させていくことはグローバルな動きなのですが、日本では活発ではありません。保守的な状況が続いているのが日本のマーケットです。

冒頭で起業の難しさについてお話しさせていただきましたが、一方で良い傾向も出てきます。日本のスタートアップの資金調達は好調です。また、マーケットがあまり良くないと言われている中でも、チャレンジする企業が現れ始めています。

「Antler Cohort Program」で起業家に投資する

Antlerでは非常にユニークな活動を行っています。我々が「Day Zero」と呼んでいる、起業前の段階から事業作りをサポートしています。

Antlerは、現在、23カ国、6大陸、28都市で展開しています。2017年にシンガポールで創業し、今ではアメリカ、カナダ、南アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、MENAP、アジア、東南アジア、オーストラリアをカバーし、これまで7,000人ほどがこの「Antler Cohort Program」というプログラムに参加しています。

ベンチャーキャピタルは、通常、創業済みの会社に投資することが多いです。チームができていて株式会社として登記されている会社に対して、ベンチャーキャピタリストがその企業を調査し、投資をおこなうことが一般的です。

しかし、私たちは「Day Zero」の状態、つまり、チームが組成されておらず、事業内容も決まっていない状況から、起業家を支援しています。

具体的にどのようなことをしているかをお話しします。私たちは「Antler Cohort Program」を年2回、世界28都市で開催しています。おおよそ1,000人の方をリクルーティングします。応募される方は様々です。サラリーマンであったり、フリーランス、学生、定年退職された方など、ありとあらゆる方にお声がけし、そこから、参加者を選抜します。選抜された方には10週間に渡り、フルコミットで事業創出に取り組んでいただきます。知らない人同士が一同に集まるのですが、そこからチームを作り、CEO、CTO、CMO等の人材をマッチングしながら、事業モデルを作っていただきます。

10週間後まで活動できたチームは、投資委員会で事業プランを発表していただき、投資をさせていただくか判断させていただきます。必ず共同創業者がいないといけないため、70人程度の参加者だった場合、約30チームが生まれるのですが、最後の段階では、7〜10チームになり、そこからさらに投資委員会をパスした企業に対して、2,000万円の投資させていただきます。

このようにAntlerは「Day Zero」から投資をさせていただき、さらに事業を成長させることができればフォロー投資もします。シリーズAに到達した企業は、グローバルファンドからの投資が可能です。グローバルでのさらなる成長のために、弊社のグローバルなネットワークを活用させていただきます。このようにフォロー投資をシリーズCまで続けられる、世界でも非常にユニークなベンチャーキャビタルとなっています。

さらに10週間の期間の間、様々な支援を行っています。例えば共同創業者のマッチング、起業家の講演や、弁護士、司法書士、税理士、社労士など士業の方々による講演です。また、メンタリングを通して事業アイデアのブラッシュアップもサポートします。

チームが組成されると我々はメンタリングを行いますが、その際には必ず、プロダクトとマーケット、チームの評価を行い、起業家に対してフィードバックをします。その際、28都市における組成された全てのチームの事業進捗データは自社の「Hub」というプラットフォームに入力されます。このように世界中の事業進捗が入力されることによって、日本では未開拓の領域でも、「Hub」を活用することで他国の事例を見ながらサポートが可能です。

また、私自身は過去に2回起業し、経営に携わった経験を持っています。事業を成功させることができるのか、起業家としての素質を見極めることを得意としています。Antlerのデータドリブンなアプローチを基盤とし、さらには過去の自分の経験や反省を踏まえ、スタートアップの起業家に対して、100時間以上伴走しながら投資をさせていただいています。

起業家を集めスタートアップを加速させる

Antlerのミッションは、このような独創的な手法で、世界中で偉大な起業家の創出を支援することです。2023年1月に第一回目の「Antler Cohort Program」を開催しました。初開催では600名ほどの応募者があり、その後、約60人を選抜して、17チームが6週目まで活動を続け、最終的には3社に投資させていただきました。2023年10月からは第2回目のプログラムを開催しています。私も起業家と一緒に伴走しながら、全力で支援をしています。

私が参加者に常に問いかけているのは、「プロブレムは何か?」ということです。「その事業がプロブレムに対して、ソリューションを提供できるのか」が最も大事だと考えています。グローバルでビジネスをしていくにあたっては「プロブレムがどこにあるのか」「そのソリューションは何なのか」ということを理解し、なおかつ、そのペインをみんなが持っているかどうかを明確にすることが重要です。壊れたテープレコーダーのように、「プロブレムは何か?プロブレムを作ってないか?」と毎日言い続けています。また、投資を受けるにはスケーラビリティであったり、海外展開のストーリーも不可欠ですので、その重要性もお伝えしています。

Antlerの選考プロセスは、あまり外部に開示していません。応募いただいた後に書類選考をして、そこから1次面接をし、パートナーとの面談を受けて、事業アイデアがあれば事業ピッチをしていただいて、そこからオファーをしています。10週間もの間、平日にフルコミットしていただくプログラムとなるので、本気で起業を目指している方や、会社員の方は休職や退職をされて参加いただく方がほとんどとなります。

このように多くの起業家を集め、チーム作りをしながら、伴走させていただき、優れた事業に投資をさせていただくというAntlerのご紹介をさせていただきました。ありがとうございました。

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この記事を書いた人

ryoのアバター ryo 何でも屋

10年間にわたるフィリピン滞在を経て、上智大学・比較文化学部を卒業。学生時代から様々な事業の立ち上げに携わり、サラリーマン、起業、国内+外資系企業社長、取締役、顧問、株主などをスタートアップ及び上場企業で経験。

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